オペラ「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」は、1904年(明治37年)初演、イタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニ(1858-1924)の不朽の名作です。
主人公の蝶々さんは、長崎に住む15歳の女性です。来航中に長崎に上陸したアメリカ海軍の軍人・ピンカートンは、蝶々さんに一目惚れ。ついに蝶々さんとピンカートンは結婚してしまいます。
その後、ピンカートンは軍務のため帰国します。
彼を待ちわびる蝶々さんは、丘の上にある自宅から海を見つめて歌います。そのアリアが、有名な「ある晴れた日に」です。
しかし、ピンカートンは帰国後にアメリカ人女性と結婚。三年後、長崎に新妻と上陸し、蝶々さんとの間に生まれた男の子を渡せと迫ります。
絶望した蝶々さんは、「子どもを頼みます」と告げ、自刃して果てるのです。
この軍人の勝手さと蝶々さんのはかなさに、私は涙します。特に「ある晴れた日に」を歌う蝶々さんがしのびなく、感激は最高潮に達します。
広島のアステール・プラザで、島根県出身の歌手の方が蝶々さんを演じられましたが、楚楚とした美しい方で大変感激しました。
映画では歌は吹き替えでしたが、若き日の八千草薫が演じていました。とても可愛らしい蝶々さんでした。
11月19日のNHKのドラマで、「蝶々さん」を放映していました。オペラではなくお芝居ですが、「ある晴れた日に」の旋律が流れると、なんとも言えない思いが胸にこみ上げてきます。
主演の宮崎あおいは、可愛らしい中に強い意志を持った蝶々さんを演じています。佐賀藩の士族の出身で、父は佐賀の乱で江藤新平とともに討たれたことになっています。
第1話の終わりで、アメリカの軍艦が長崎を目指し航行中でした。第2話では、宮崎あおいが蝶々さんの悲劇をどのように演じるのでしょう。
楽しみではありますが、また泣いてしまうことは間違いありません。
最近、外交や通商において、アメリカの日本に対する横暴がまかり通ろうとしています。
オペラ「マダム・バタフライ」は、アメリカでも好演を果たしていることと思います。このオペラを鑑賞して、「アメリカ人はひどいことをした」という心境にはならないのでしょうか。