少し早いですが、年末のご挨拶に回っています。そこで話題に出たのが、裁判員制度です。
「うちの会社の人間も選ばれそうになったんだ。」
「選ばれたらと思うとドキドキするぜ。人を裁くって。」
ちょっと待ってください。どうも皆さん真面目に考えすぎなのではないでしょうか。
そこで紹介したいのが、ハリウッド映画「12人の怒れる男」です。アメリカの陪審員制度をうまく表現した映画です。大学の法学部の教材に使われたのですが、陪審員制度では陪審員の評議が一致しないと、陪審員は交代することになることが描かれています。
殺人の疑いで逮捕された少年を陪審員が一室にこもって評議するというストーリーですが、最初に表決を取ると11対1で有罪が多数です。このときそれぞれどちらにしたか、ひとりずつ理由を話します。野球好きの陪審員がいて理由を話します。
「なんてったってあのガキは死刑だ。さっさと終わっちまおうぜ。今日はヤンキースの試合があるからな。」
その後、無罪を主張する陪審員がひとりひとり説得して行き、無罪に変えていきます。無罪が多数になると、ヤンキースファンの陪審員は無罪へと意見を変えます。有罪を一貫して主張する陪審員が、彼をなじります。すると彼は、
「有罪だろうと無罪だろうと俺の知ったこっちゃねえ。俺は早く野球に行きてえんだ。」
当然彼は他の11人から呆れられます。しかしこの男も立派なアメリカ国民であり、選ばれた陪審員なのです。12人いれば、こんな人間が1人いても不思議ではありません。
この男を見習う訳にはいきませんが、様々な日本国民が裁判員として選ばれます。無理に堅苦しく真面目な人間を演じるのではなく、肩の力を抜いて自然体で参加してもらいたいと思います。