今読んでいる本は、岩波新書の「平家の群像」です。平家の公達の中でもイケメンの平維盛(これもり)と平重衡(しげひら)を取り上げています。重衡は清盛の五男、維盛は清盛の長男重盛(しげもり)の長男です。大河ドラマ「義経」では、維盛を賀集利樹、重衡を細川茂樹、重盛を勝村政信が演じました。
重衡は「牡丹の花の武将」、維盛は「光源氏の再来」ともてはやされました。しかし、二人とも非業の最期をとげています。
ここでとりあげるのはその二人の話ではなく、小松殿と言われた平重盛です。重盛は聡明で、父清盛をよく補佐し一門の隆盛に大いに貢献しました。残念ながら清盛より早く死亡してしまい、これが平家没落の一因となりました。
ある会合で、呉市の市議会議員に重盛さんという方と一緒になったので、「ひょっとして平家の一門ですか。」と尋ねたところ「そうだ。」と答えられました。
そこで「私の姓『松坂』は伊勢の松阪出身に違いないので、伊勢平氏の出でしょう。」と言ったところ、「こないだの戦(いくさ)に勝っとりゃー、お互い議員して苦労せんでもすんどったのにのー。」とおっしゃられました。
不思議に思い、「こないだの戦たぁ、いつの戦のことですか。」と尋ねると、重盛さんはにやりと笑って「壇ノ浦よね。」と答えました。
この瞬間、重盛さんこそ正真正銘の平家の末裔と確信しました。900年の遺恨忘れいでか、という気概を感じました。