2010年2月23日火曜日
熊本城と学芸員
大御台所
大広間
天下の名城熊本城は、17世紀のはじめ加藤清正により築城されました。西南戦争の直前に焼失した本丸御殿が復元されたので、視察に出かけました。
「歴女」と呼ばれる歴史好きな女性が一人で、あるいは二人で訪れていました。数えていくとあっという間に100名を超えました。 国内だけでなく、韓国や中国からも、たくさんの団体客がやって来ていました。復元により来場者数は2倍になっているそうです。
本丸御殿に入りますと、最初の見所は大御台所です。広い台所には、熊本城と染め抜いた法被を着た若い学芸員の方がおられ、地下から発掘された囲炉裏の説明をしてくれました。
天井の小屋組みのことや、台所が別にもうひとつあったこと。焼失の原因は三つの説があり、籠城軍の自焼説について詳しく説明してくれました。その説明はよどみなく、私のあらゆる質問にすらすらと答えが出てきて、すごいなと感心しました。
藩主が家臣や客人と対面した大広間でも、警備員の方が藩主の座席の位置やどちら向きに座ったか、また家臣がどこに座ったかについて詳しく説明されました。想像力をかきたててくれる、とてもすばらしい説明でした。警備員の方も大変博識で、私は再び感心しました。
「熊本城の素晴らしさを訪れた人に知ってもらいたい!」という熱意を、今回の視察で強く感じました。学芸員の方も警備員の方も、一体となってもてなしてくれました。
本丸御殿は54億円の総工費で復元したそうです。その財源は、熊本市の一般財源から29億円、国から14億円、寄付金が11億円という説明でした。
今年、毛利輝元を顕彰する金箔瓦の展覧会が予定されています。しかし、今の広島市で29億円持ち出して過去の建造物を再建することは難しそうです。
せめて熊本に負けない博識な学芸員を揃えて、歴史好きな来場者の知識欲に答えたいと思います。