2011年1月24日月曜日

伊藤博文

 伊藤博文は、明治の大政治家です。
 内閣制度、憲法、議会制度。現代に続いているこれらの制度は、すべて伊藤博文が手がけました。不世出の大政治家と言って良いでしょう。

 山口県熊毛郡の農家に生まれた伊藤は、父が萩の武家に養子に入ったため、足軽の身分になりました。萩市の伊藤の旧家を訪れましたが、一目で家中が見渡せる本当に狭い住まいでした。
 その伊藤は、高杉晋作、木戸孝允、そして大久保利通の知遇を得て、明治14年の政変で明治政府の中心に座りました。
 
 伊藤は本格的な政党を組織しようと、明治33年立憲政友会を組織しました。しかし軍や官僚がこの動きに抵抗し、伊藤は3年で政友会を離れます。
 その後、軍制を敷いた元帥・山縣有朋の直系である桂太郎が首相となり、小村寿太郎外相と日露戦争に突き進みます。伊藤は戦争を回避しようと動いていましたが、流れを止めることはできませんでした。

 日本はその後、韓国の併合に突き進みます。なぜ突き進んだのか、詳しく知りたいのですが、まだよく分かりません。伊藤についての研究がさらに待たれます。
 まだ謎の部分が多いのですが、伊藤は混迷する現代政治に大きなヒントを与えてくれる政治家と思います。

 
 ところが、大政治家という割りに、ドラマなどにおける伊藤のイメージはどうも軽いのです。
 
 明治維新を舞台にした大河ドラマでは、坂本竜馬、西郷隆盛らが重厚に描かれ、伊藤は軽い役者がふんするのです。尾藤イサオ、伊丹十三らが演じていました。

 そんな中、「明治の群像」というドラマで伊藤を演じたのが山崎努でした。ようやく策略家の大物政治家というイメージで演出されたと感じました。
 
 その後、妻を殺害した元勲・黒田清隆(江守徹)と、その後妻(黒木瞳)を描いたドラマでは、伊藤をなべおさみが演じました。顔がそっくりで千円札がそのまま出て来たようでした。
 これには少し笑ってしまいました。
 以後、なべおさみがはまり役となるかと思いましたが、日露戦争を描いた「坂の上の雲」では加藤剛が演じており、真面目な悲壮感漂う伊藤になってしまいました。

 山崎努、なべおさみ、加藤剛。いずれもひとかどの名優ですが、個性も異なるし演出家の描き方もまったく異なります。
 イメージのつかみにくい政治家だと言えましょう。