広島市の中央図書館は、昭和49年に建設された図書館です。広島城近くに開設されたこの図書館は、当時としては画期的な冷暖房完備の閲覧室と自習室を持ち、映像文化ライブラリーでは日本の名作映画を放映していました。
その図書館での出来事がニュースになりました。
5月10,11日に降った大雨のため12日に雨漏りし、浅野文庫という貴重な古文書が濡れてしまいまったのです。浅野文庫は、旧広島藩主の浅野家から譲り受けた、江戸時代の文献です。
これは放置しておくことはできないと思い、6月3日に図書館を訪れました。市民局の生涯学習課長、そして図書館長と副館長が同行しました。
雨漏りについての視察のため屋上に向かったのですが、その前に色々な点が目に付きました。
事務所の前の階段には、大学から借りた資料と捨てる予定の古本がごっちゃになって置いてありました。そのため階段は半分ふさがってて通れません。
壁のなかに設置された、消防用のホースの収納庫の前にはテーブルがあり、ふたが半分しか開きません。
消火器の前にはついたてがあり、消火器が隠されていて、すぐには分かりません。
色々と気になり、これらを館長、副館長に指摘しました。目的は屋上なので引き続き進みました。
閲覧室に向かうには中央廊下から階段が10段ほどあり、車椅子を使う人はリフトで上がっていく構造になっています。「リフトをご利用のかたは、係員を呼んでください。」という張り紙がありました。一人ではリフトに乗れないので、人の手を借りることが必要なのです。
「呼んでくれといっても、閲覧室にいる係員を呼ぶには閲覧室まで上がっていかなければならない。車椅子を使うひとは、上がれません。大声で叫んで呼ぶのですか。」と、館長に尋ねました。
すると副館長が、「呼」ボタンを押すのですと教えてくれました。
「呼」を押して時計を見ながら待っていました。誰も来ません。2分たったころ、副館長がたまりかねて「呼」を押し続けました。その間でも、誰も出てきませんでした。しびれを切らした副館長が、係員を連れてきました。
係員によると、ベルの絵が描いてあるボタンを押すと、閲覧室に音楽が流れるのだそうです。それが流れると、係員は降りていってリフトを操作します。
それなら、ベルの絵のボタンを押してくださいと書いておけと指摘しました。呼びたいのなら「呼」ボタンを押すと思いますし、現に副館長は「呼」ボタンを押せば、係員がやってくると思っていました。
「呼」はリフトを呼ぶボタンで、階段の上にいたリフトが下りてきただけでした。
さらに驚いたことがありました。
3階から4階に行く階段に、張り紙がありました。
「傘を干す人は、邪魔にならないよう片側に寄せて干してください。」
私はあきれ果てました。
「公共施設の階段は、いつから傘干し場になったのですか。市役所の階段や、市民病院の階段に傘がほしてありますか?」
館長も、副館長も二の句が告げない様子でした。館員は図書館を自分の物だと錯覚しているとしか思えません。
まだあります。
非常口と表示された避難用ライト。火災中停電になっても点いている、緑色のライトです。
廊下の突き当たりに避難用ライトが点っているのですが、その手前にはもれなく、
「関係者以外立ち入り禁止」
と書かれたついたてが立っていました。
「非常口が立ち入り禁止だと、火災のとき非常口に立ち入れなくて、焼け死ぬのではないですか」と問うと、館長も副館長も下を向いていました。
とにかく、来館者を事務室や厨房などに極力近寄らせないという意識が強いようでした。
なかなか雨漏りにたどり着きません。
次回に続きます。