ロンドンオリンピックが始まりました。4年に一回のスポーツの祭典を見逃してはなりません。
男子の体操は、エースの内村航平選手は「個人より団体の金メダルが欲しい」と言っていました。
しかし、7月28日の予選では、その内村が鉄棒とあん馬で落下。5位のスタートとなりました。試合中の内村は顔面蒼白、頬もこけた印象で、極度の緊張に陥っていました。あやうし日本。
30日の決勝は、6つの種目を1チーム3人ずつ演技します。最初の競技の吊り輪で一番手をつとめた内村は、思い切った試技で15点台をマークして、上々の滑り出し。着地だけ一歩前に踏み出したところに、相当の重圧を感じている事がうかがえました。
その後も内村は全ての競技で高得点を上げ、チームを引っ張りました。
予選6位だった中国が5種目終わって1位。2位日本、3位ウクライナで、4位がイギリスでした。
最後の種目はあん馬です。中国の3選手は14点台後半でまとめて、1位を確定しました。つづいて日本です。一番手の田中和仁選手が落下して大きく減点されましたが、二番手の加藤凌平選手が盛り返して14.766を出しました。最後が内村です。13.740以上を出せば、2位が確定します。
予選で落下しているので、はらはらしながら応援していました。両脚の回転もスピードが落ちず、終盤まで上手くまとめて来ました。あとはフィニッシュだけと、少し安心しました。
しかし、安心も束の間でした。最後に回転しながら両脚で倒立するのですが、内村は右脚からバランスを崩してしまいました。床に落下してしまうと思いましたが、バランスを取り直して両足から着地しました。このリカバーはすごかった。まったく驚きました。
減点はやむを得ないと思っていましたが、点数は思いのほか低く、13.466でした。イギリスの2位に場内は大喜び。がっかりする日本ベンチ。内村は、こんな低い評価かと茫然としていました。
その後、日本の監督とコーチが審判団に抗議、長い協議に入りました。5分ほどたって、内村の得点は0.7加点されて14.166。なんと日本は2位にすべりこみました。
内村の談話です。
「4年前と同じ2位でした。4年間何をやってきたんだと、ふがいなく思います。」
ひょうひょうと演技し勝利してきた内村が、いつのまにかすべての重圧を背負っていたように感じました。同時に、すべての重圧を背負いながら、チームを2位に押し上げた内村は素晴らしいと思いました。
男子体操団体の闘いは、内村の闘いだったと思います。