8月31日、延長50回の死闘についに決着がつきました。
第59回・全国高校軟式野球選手権大会の準決勝、広島県代表・崇徳高校と岐阜県代表・中京高校の一戦は、3対0で中京に凱歌が上がりました。
一日15イニングを三日間闘って45イニング。さらに四日目に5イニングを闘っての決着です。
中京の松井大河投手は709球、崇徳の石岡樹輝弥投手は689球を投げ抜きました。
この空前絶後の熱戦は、テレビもラジオも中継しませんでした。残念です。ニュースでほんのさわりが流れただけでした。
わたしは軟式野球を中学高校とやっていましたので、この試合は非常に気になっていました。もちろん広島県代表である崇徳を応援していました。石岡投手は長髪で、坊主頭がほとんどの高校野球にあってひときわ目を引きました。
首位に迫ろうとする広島カープと同様に、崇徳の健闘は大規模土砂災害に被災した人たちを勇気づけたことでしょう。おおいに顕彰されるべきだと思います。
硬式の延長戦の記録は、前身である全国中等野球までさかのぼります。
1933年(昭和8年)の準決勝は、愛知代表・中京商業と兵庫代表・明石中学の一戦でした。
中京は吉田正男投手、明石は中田武雄投手の投げ合いで、ついに延長25回を迎えました。
25回表の明石は無得点でした。その裏中京の攻撃、無死一塁からのバントが野選となりました。その後無死満塁となり、一番・大野木のセカンドゴロをセカンドがホームへ高投 。三塁ランナーが生還し中京のサヨナラ勝ちです。
当時のラジオはこう放送しています。
「二塁セーフ、二塁セーフ」「セーフセーフ。ホームイン。ホームイン。1アルファー対0、1アルファー対0。熱戦25回ついに中京勝ったのであります。」
25回を超える延長戦は、その後のルール改正のためありません。空前絶後の大記録です。吉田投手は336球、中田投手は247球の熱投でした。
軟式50回、硬式25回の熱戦は不滅の金字塔と言えましょう。