前回の続きです。
街灯をつけてほしい、と要望があった場所に行き、最後に確認のため依頼者の自宅を訪れました。すると、
「橋のたもとじゃない。川べりの道よ。夜、散歩する時に真っ暗なんじゃ。」
とのことでした。私はてっきり、歓楽街側のたもとが暗いので、そこに街灯をつけてほしいという要望だと思っていました。
川辺の道は公園になっていて樹木が生い茂っています。言われてみれば、街灯もないので本当に暗く、同行したスタッフも同じように指摘していました。
そこで、今日も現地を見に行きましたが、やはり真っ暗でした。川辺の公園には、昔から柳の木が植えてあります。子供のころ近くに住んでいたのですが、生い茂る柳の枝が幽霊のように見えて恐ろしい場所でした。
同行したスタッフに柳の由来を説明しながら、橋のたもとまで歩きました。そして橋の欄干に手をかけたその時です。欄干がくにゃっと動いて、てっぺんの部分が軽々と取れてしまったではありませんか!一瞬何が起こったかわからず、背筋にぞーっと寒気が走りました。
次の瞬間、カランカランと空き缶の転がる音。取れたと思った欄干は、欄干に乗せてあった缶コーヒーの空き缶でした。
空き缶と欄干の区別もつかないような暗さだったので、やはり街灯は必要だと思いました。そして、川辺の公園は子供のころと変わらず、恐ろしい場所でした。