眼の奥が痛いと言う方の相談を受けました。Aさんとします。
コンタクトを1日15時間装用しているというので、「そりゃー長すぎる、仕事がすんだら眼鏡にされては。」 と言いました。
すると、「いや、仕事が15時間です。」と言われました。 週に3,4日は15時間のお勤めだそうです。他の日でも12時間は働くそうです。
「パソコンを操作する仕事ですか?」 と聞くと、ケーキを販売しているのだそうです。
そういえば繁華街で営業している洋菓子屋は、10時くらいに開店し22時でもまだ営業していたことを思い出しました。準備や片付けを含めたら15時間にはなるでしょう。
Aさんは、20歳代の女性ですが、その疲れた様子がとても気になり、「眼のことも心配ですが、身体が心配ですね。」 というと力無く笑っておられました。
別のケーキ工房に勤めるBさん。パティシエになりたくて就職した20歳代の女性です。
Bさんの店はAさんの店ほど大きくありません。Bさんはケーキ作りが仕事なので、10時開店のところ8時には出勤します。後片付けの終わったあとに、予定されなかったミーティングがしばしば入り、15時間くらいは勤務することもあるそうです。
しかし、給料は月に手取り13万円ポッキリで、時間外手当はつきません。1日8時間だけ働いたことになっているようです。もちろんタイムカードもありません。
オーナー社長が言うには、「てきぱきすませて8時間で帰宅するのも、15時間働くのもあなたの裁量よ。」 だそうです。
この工房では若い社員さんが1年も続かないのだそうです。当然だと思います。いくら若い人とはいっても、労働条件が過酷過ぎます。
この二つのケーキ工房は若い女性の弱み、つまり就職難に付け込んで、労働力を安い賃金で不当に搾取していると言わざるをえません。
労働基準法違反で告発できるのは、本人の申告によらなければなりません。もし申告したとしすると、これらのケーキ工房は彼女たちを解雇するでしょう。不当解雇だと訴訟することも可能ですが、「さっさと辞めちゃえ」、と言って辞める方が簡単です。
しかし、そんなことでは問題は解決しません。鳩山内閣も連合も、未組織労働者に支援の手を差し伸べるとうたっておりますが、その手が届く気配は全く届ありません。
ケーキを作ったり、そのケーキをお客さんに売って喜んでもらったり。大きな夢を抱いて就職したにもかかわらず、冷たい現実に打ちひしがれている人たちを助けなければ、と思います。
くやしいことですが、この二つのケーキ工房には夢というものは存在していません。全てのケーキ工房がそうでないことを願います。