2010年5月11日火曜日

大英博物館

 世界の博物館といえば、何と言っても大英博物館です。ロンドンを訪れた時、オックスフォードに留学していた友人が連れて行ってくれました。
 世界の文化遺産が一堂に会した、途方も無いコレクションでした。古代エジプト、ギリシャ、ローマ、シリア、インド、中国、朝鮮、そして日本の宝物が陳列されていました。これらは主に、19世紀に収集したものになります。帝国主義の時代に世界中に領土を持っていた、日の没することの無い大英帝国700万点のコレクションです。

 ところで皆さんは大英博物館の入場料が無料であることをご存知でしょうか?
 
 その理由を友人が教えてくれました。
「これらのコレクションは、世界各地から盗んで持ってきて飾ってあるものだ。盗品を展示してお金を取るのは、さすがに後ろ暗いから、無料にしているのだ。」
 なるほど、もっともな説得力のある話です。最大級の遺産は古代エジプトのロゼッタ・ストーンです。
 イギリスの先輩はフランスです。ルーブル美術館も、大英博物館に負けず劣らず盗品を陳列しています。5万点ある古代エジプトの遺産のうち、最大級はデンデラの黄道帯です。ナポレオンがエジプト遠征の際に持ち帰った物です。
 
 日本でも第二次大戦後、多くの文化遺産が流出してしまいました。その行く先は、アメリカなどの占領国です。10万点の刀剣、沖縄の王家である尚家の財宝が失われました。
 近年、ユネスコの仲介で遺産の出土国へ遺産を返還する作業が始まっていますが、イギリスやフランスはこう反論しています。
「世界の遺産なのに、返還してしまうと出土国だけの遺産になってしまう。」
 じゃあ今はイギリスやフランスだけの遺産ではないか。独り占めしているじゃないかと思います。すみやかに出土国に返還すべきでしょう。

 戦後、日本政府は領土の返還を要求してきました。私は文化遺産の返還も要求し、返してもらいなさいと言いたいです。広島市内から持ち去られた遺産もあるはずです。
 
 現在広島市には博物館がありません。文化遺産を返却してもらった際には、博物館を建てて展示してほしいと思います。