映画「真空地帯」を見ました。久しぶりに見ると、本当に面白い。
「真空地帯」は野間宏が原作の小説で、日本の軍隊の不条理を描いた作品です。1952年に山本薩夫監督がメガホンを取り、映画化しました。
舞台となった大阪の連隊では、初年兵に対する古参兵の陰惨ないじめや、上官による不正が横行していました。主人公(木村功)は、上官の罠にはまり、2年3ヶ月の刑務所行きを命じられます。
出所後は連隊に戻りますが、罠にはめた上官たちの策謀で、主人公は無理やり南方戦線に送られてしまいます。
面白いのは、理不尽ないじめをする古参兵たちの演技で、演技力のある俳優を揃えています。
テレビで「水戸黄門」を演じた西村晃と佐野浅夫。映画「男はつらいよ」で寅さんの「おいちゃん」となった下條正巳。頑固な老人を演じてテレビや映画で活躍した花沢徳衛らです。
みんないかにも憎々しい顔つきです。佐野も下條も花沢も、木村からこてんぱんにやられる場面がありますが、ざまあみろと思ってしまいました。
それに比べて、今の芸能界には悪党づらの俳優が見当たりません。寂しいことです。
そういえば、サッカーのワールドカップを見ていて、代表で活躍した長友選手の顔を、どこかで見たことがあると思っていました。
この「真空地帯」を見て、その疑問が解決しました。
初年兵をいじめる古参兵の役で、長友選手にそっくりの俳優が出演していたのです。長友選手の方が、ちょっとだけ善人風です。
ぜひ、この映画をたくさんの人に見てもらいたい。現代社会も「真空地帯」と同様に、いじめや裏切りといった理不尽で不条理なことがまかり通っています。
市役所でも、市内の民間企業でも、そして市議会でも例外ではありません。
それを改めて行くのが、私の仕事だと思っています。