大河内伝次郎は、日本を代表した映画スターです。1927年の伊藤大輔監督作品「忠治旅日記」で、一躍トップスターの座につくと、以後「御誂次郎吉格子(おあつらえじろきちこうし)」などヒットを飛ばしました。そして「新版大岡政談」で片目片腕の剣客「丹下左膳」を演じ、これが一代の当たり役となりました。
私はテレビで「沓掛時次郎」を観たことがあります。弱者の母子を助け、さっそうと立ち回りを演じる大河内は、さすがに日本を代表するヒーローだと思いました。
その大河内に危機が訪れました。今まで出演してきた映画は、全て無声映画でした。無声映画がいよいよトーキー(音のでる映画)に変わることになったのです。福岡県豊前市の出身の大河内は九州訛りが強く、標準語が苦手でした。
しかし、逆風で多くの映画スターが引退する中、大河内は敢然とトーキー映画に出演したのです。
「しぇーはたんげ、名はしゃじぇん。」(姓は丹下、名は左膳)は名セリフとなり、寄席では多くの芸人が声帯模写で取り上げました。
その後、大河内伝次郎は戦前・戦後を通して大スターの座を保ち続けました。
さて、広島市長選挙は昨日3月27日からスタートしました。いつもと違って選挙カーからの音が小さく、静かなようです。
まさか「無声選挙」ではありますまい。
選挙期間は、候補者だけでなく市民にとっても貴重な時間だと思います。各候補者の政策を、生で聞くことのできるチャンスです。その候補者の声を消すことは、市民にとっての損失だと思います。
もし、現代のテレビや映画から音声を無くしたら、誰も映画やテレビに関心を示さなくなるでしょう。それと同様に、選挙から音を無くしては、多くの人が選挙に関心を示さなくなるのではないでしょうか。
私はしっかりと発言します。
自分の声、主張を市民の皆さまに届けてまいります。