広島を震撼させる事件が起こりました。
1月11日午前10時40分、中区の吉島にある広島刑務所から40歳の囚人が脱走しました。12日は西区の住宅に空き巣に入るなど、逃走を続けました。13日午後4時30分頃、西区天満町の路上で女性警官から職務質問を受けたところ、本名を名乗り御用となりました。
2日半に及ぶ逃走劇でした。その間、子どもたちの登校や下校時の警戒など、市民は恐怖を感じ続けました。また、連日全国ニュースと地方ニュースで報道され、市民はこの脱獄囚の捕縛に協力したものと思われます。
しかし、逃走の経路をたどりますと、刑務所がこの囚人が逃走できるようにお膳立てしていたとしか思えません。6メートルある刑務所の塀は、改修工事のため工事用の足場が組んでありました。さらに、接触すると感知するようになっている防犯線の電源は切られていました。
このため、囚人はやすやすと6メートルの塀に上り、塀の外の路面に飛び降り逃走したのです。
近所の住民は、この工事用の足場を見て、
「抜け出せるのではないかと不安に思っていたら、やはりこのような事態が起きた」
と、語っています。
広島刑務所の山崎秀幸総務部長は、
「危険性が高いと認識していたが、職員に注意を呼びかける程度だった。」
と、打ち明けています。
刑務所とは、囚人の身柄を拘束するところです。
今回の事件は、高い塀に足場を組み、さらに防犯線の電源を切って、「さあ、お逃げください。」と言わんばかりです。
工事現場の足場を見て、「こりゃあ大事になる。監視を強化せんと。」と誰も思わなかったのです。想像力の欠如であり、無責任の極みであり、無能のそしりを免れません。
今回の事件で、塀の外の住民の危険に対する感覚と、塀の中の刑務官の持つ感覚とに大きなギャップがあることが分かりました。
このギャップを埋めるのが、私たち政治家の急務であると思います。