2013年5月27日月曜日

白鵬25回目の優勝

 大相撲夏場所14日目、横綱・白鵬と大関・稀勢の里はともに13戦全勝で激突しました。

 白鵬はすでに優勝24回の強豪、一方の稀勢の里は初優勝をめざします。実力差が明らかだった両者ですが、今場所は「激突」の言葉がふさわしい一番となりました。場所の中盤から、稀勢の里に変化が見えたからです。
 いつもの腰高の相撲は影ををひそめ、ぐっと腰を落とし、しかも前へ出る取り口に徹して安定感がありました。
 一方の白鵬は、得意の右四つ左上手を取っての相撲こそ少なかったものの、動きの中で自分十分の体勢をつくった相撲で、危なげありませんでした。

 両者13連勝のうえで対戦、立ち合いで先に腰を割ったのは稀勢の里でした。
 左手をついて白鵬の動きを待っていましたが、 白鵬が手をつかず仕切り直しとなりました。このあたりで、白鵬が稀勢の里の勢いを止めた印象でした。

 立ち上がって白鵬は左に変化。左の上手を取って左へまわります。両者は一旦土俵中央でとまり、稀勢の里は左を巻き替えます。白鵬も左を巻き替えて左四つになりました。
 左四つは稀勢の里の得意の組み手です。ここぞとばかり稀勢の里は寄って出ますが、白鵬はこれをこらえます。
 白鵬が寄り返して左から下手投げを放つと、両者横倒しとなりました。稀勢の里は背中から落ち、白鵬は少し遅れて右の肩から落ちました。両者、体にべっとりと砂を付いていました。

 稀勢の里が倒れるとき、不自然に左の足の甲が反ってしまっていました。白鵬が語るには、土俵が軟らかかったということです。
 白鵬は土俵の軟らかさも計算に入れて下手投げを放ち、稀勢の里が足を送れないように体を浴びせました。なんという緻密な相撲でしょう。

 結局、白鵬は全勝で25回目の優勝をとげました。素晴らしいの一言です。
 稀勢の里は、今まで大関では10勝がせいぜいだったところ13勝をあげました。勝ち星3つ分強くなったと言えましょう。これも大変立派なことです。

 来場所からの両者の対決が楽しみです。