先日、ある説明を聞くために、大手町の広島市消防局を訪れました。説明をしてくれたのは、消防局の救急部長でした。
ある説明の中身はまた後日紹介します。
その説明の中で、救急車に搭載する救急器具の話になりました。
「交通事故で路上に受傷者が横たわっている場合、救急隊はどうするのか。」
「受傷者の正面に救急車を停止させて、後続車からブロックします。そして救急車には強力なライトや、反射板などを搭載しています。」
「じゃあ、中消防署に救急車があるので、何を搭載しているのか見せてください。」
私と部長は1階に下りて、大手救急隊の救急車に乗り込みました。
「事故の受傷者を保護するため、後続車に注意喚起する道具はどれですか。」
強力ライトは隊員の座る椅子の下にあり、すぐに取り出せました。反射板もあるとのことで、 隊員2名が、車内の長椅子のふたを開けて中を探し始めました。ところがすぐに出てきません。
数分して、長さ20センチのライトが出てきました。スマートな懐中電灯でした。しかし、まるで店で買ったばかりのように、プラスチックのケースに収めてありました。取り出してスイッチを押すと、強い光を放ちました。
「ケースに収めたままでは、使用するのに時間がかかるのではないですか。」と聞くと、隊員は「この長椅子の中に入れておくと、破損するおそれがあるのでケースに入れているのです。」と説明しました。救急部長もその通りといいました。
「救急の場合に使用するのだから、医師や看護師や家族が座る長椅子の下に収めていたのでは、すぐに使えない。ケースから出して目に付くところに置いたらどうですか。」
隊長は黙っていましたが、部長は不満そうに
「破損してはいけないのでケースに入れているのです。」 と反論しました。
「市民の税金で買ったライトが、市民の生命を助けるために破損しても惜しくはないと思います。使わずに大事に収めておく方が、よろしくありません。」
私はそう言いながら、手にしていた強力ライトを椅子の下に置こうとしました。
すると椅子の下は皿のようにくぼんでおり、その皿の部分には、ほこりがびっしりと溜まっていました。椅子の周囲の床もびっしりと溜まっていました。数か月間掃除をしていない私の部屋よりも、ほこりの量は多いようでした。
隊長は「毎朝掃除をしています。」と話しました。今度は部長が黙っていました。
さらに、プラスチックのごみ容器が目に付きました。そこには使用したゴム手袋がうず高く突っ込んでありました。
3人の隊員が出動するたびに、感染防止のため使用した手袋を廃棄します。そのごみ容器が手袋でいっぱいになっていたのです。
「なぜ、ごみを捨てないのか。」
「忘れていました。」
「今すぐ捨てなさい。車内も掃除しなさい。」
3人の隊員は掃除を始めました。ほんの3,4分で狭い車内を掃除しました。
どうしてこれだけのことができないのかが不思議でした。
こんな不潔な救急車に乗りたくはありませんし、不潔な隊員に搬送してほしくありません。
イメージダウンをして救急車の出動要請を減らすという、消防局の極秘作戦かもしれません。