大相撲名古屋場所の14日目。
この日まで横綱・白鵬は13戦全勝で、すでに26度目の優勝を決めました。春場所初日から43連勝です。
これに対抗する横綱・日馬富士は、中盤に3連敗して8勝5敗。あえなく優勝争いから脱落しました。
先場所13勝2敗で惜しくも優勝を逃した大関・稀勢の里は、序盤に下位力士に取りこぼし10勝3敗です。
優勝は決まっていましたが、13勝無敗の白鵬と10勝3敗の稀勢の里が対戦しました。
白鵬は、鶴竜、琴奨菊、琴欧洲との対戦で、右わき腹を痛め、テーピングで固定して土俵に上がりました。一方の稀勢の里はたんたんと仕切ります。
時間いっぱいの立会い。まず横綱がつっかけ、大関が待ったをしました。仕切りなおして両者そんきょの姿勢から、今度は横綱が待った。やや横綱が落ち着かない様子でした。
3回目、立ち上がって横綱が左で大関の顔を張って右でかち上げました。
しかし、大関はこれにひるまず、細かい突き押しで前に出ます。横綱も下から大関の突き手をあてがって応戦しました。
横綱が差し勝ち、得意の右四つとなりましたが、大関は不得意の態勢のまま寄って出ます。
横綱は後退しながら右からすくい投げを放つも、大関の圧力に屈し、土俵下へ崩れ落ちました。
見事な大熱戦でした。
白鵬に土。44連勝はなりませんでした。
稀勢の里の健闘に、場内は座布団の雨が降りました。白鵬がばたばたと動いたのに対し、稀勢の里は相手の身体を自分の前に置いて、突き押しで攻めとおしました。
北の湖理事長は、稀勢の里が12勝すれば次の場所に横綱挑戦の機会を与えると述べていました。
これには、早く日本人横綱を実現させたい相撲協会の思惑が正直にあらわれています。
北の湖自身、横綱昇進前の3場所は、10勝、13勝(優勝)、13勝(優勝同点、優勝は横綱・輪島)。文句なしでの昇進ではありませんでした。
最近の横綱は、二場所連続優勝をとげて昇進しています。12勝で終わって、翌場所の優勝で昇進は甘すぎます。
しかし、この日のような相撲を15日間取ることができれば、稀勢の里は胸を張って横綱に昇進できると思います。一層の精進を期待します。
白鵬は全盛時に比べると、やや力感に乏しくなりましたが、その実力はやはり群を抜いており、当分は第一人者として君臨することでしょう。
両者が毎場所優勝を争って、大相撲を盛り上げてもらいたいものです。