映画俳優の高倉健さんが亡くなりました。83歳でした。
健さんは東映の任侠映画でスターへと上り詰めました。
わたしが何度も見た映画は、東宝の「八甲田山」です。
日清戦争と日露戦争のあいだに行われた、雪中行軍の大実験である八甲田山踏破。
弘前31連隊の踏破隊を率いたのが、健さん扮する徳島大尉です。一方の青森5連隊を率いたのは北大路欣也扮する神田大尉です。
弘前隊が全員無事帰還したのに比べ、青森隊はほぼ全滅という悲劇が展開されました。
弘前隊が難所にかかった時に案内人を務めたのが、秋吉久美子の演じる地元の少女でした。
うさぎのように身軽に山を登って行く 少女を、重装備の弘前隊が追いかけます。
ようやく目的地に達したあと、少女は弘前隊にあいさつをして去って行きます。
弘前隊はだまってやりすごすのかと思いましたが、健さんは「案内人殿に、かしら右!」と号令をかけ、隊員一同敬礼をして少女を見送ります。
この時の健さんの表情が、何とも言えず暖かく、秋吉久美子もさっぱりした笑顔でそれに応えていました。
多くの兵士が凍死するすさまじい映画の中で、こころ温まる印象的な場面でした。
名優・高倉健さんのご冥福を祈ります。