2010年9月30日木曜日

尖閣諸島

 尖閣諸島の近海で、漁船を日本の巡視艇に衝突させた容疑で、中国人船長が逮捕されました。
 これに対し、中国は日本に対して様々な抗議を表明しました。
 
 日中の主張はこのまま平行線で、どうにもならないと思っていた矢先、検察の判断で船長を釈放し帰国させました。これに対し、中国も若干軟化の姿勢を示しています。拘束されていたフジタの社員4人のうち3人が開放されました。レアアースの輸出も解禁です。


 これで事は収まりそうですが、日本のマスコミは政府に対し批判の大合唱です。 NHKのニュース・キャスターが「いったいどうなるのでしょうか」と政府の姿勢を心配していましたが、このまま問題が解決して欲しくないという意図が伺われました。
 
 この問題の国会質疑を見ていた友人が、
「日本政府は、尖閣諸島は日本領だと宣言した上で、日中関係に配慮して釈放したと言うのだから、一応筋を通している。」と言っていました。冷静な意見だと思いました。
 
 尖閣諸島の帰属は、日本、中国、台湾が主張しています。日本の主張は、1895年に日本領と宣言したことにさかのぼります。1895年は日清戦争開戦の翌年で、遼東半島の旅順を占領し、首都北京に攻め込もうという時期です。日清戦争の最中のどさくさに、一方的に領有を宣言したということです。今は沖縄県石垣市に属しています。
 日清講和条約で、台湾が日本領となりましたが、第二次大戦で敗れ、台湾は中国領となりました。そして、国共内戦の末、台湾は中国から分離独立しました。

 台湾も中国も、戦後になって尖閣諸島の領有権を主張していますが、いずれも根拠は薄弱です。
確定するには、国際間の取り決めが必要ですが、たちまちは困難でしょう。
 日清戦争の頃なら、海戦で決着していたと思います。各国が軍艦を派遣して海戦を始めるはずです。
 さいわい日本は憲法9条があり、専守防衛ですから領海を越えて攻撃することは出来ません。そのような日本に、中国が攻めかかりはしないと思います。戦争にはならないでしょう。
 
 このたびの問題には、アメリカがあまり関与しておりません。アメリカのプレゼンス(存在感)が低下したためか、あえて介入しなかったのかよく分かりません。
 東アジアでの影響力が落ちているのかも知れないと思いました。
 いずれにしても、関係各国の冷静な判断が求められます。