2011年1月4日火曜日

坂の上の雲

 ドラマ「坂の上の雲」は好評のようです。特に広瀬少佐の旅順閉塞戦は迫力がありました。

 司馬遼太郎の原作も読みました。しかし、この小説は事実に基づく小説というか詳細な戦記物です。これをドラマにするには少し無理があるようで、どうしても戦争賛美調になってしまいます。原作の精神とはどこか違って来たように感じます。

 戦争を知る世代の人たちによると、あまりに軍人がかっこ良すぎるそうです。実際、本木雅弘や阿部寛の軍服姿は、美しすぎて現実とはあまりにかけ離れています。まさか、かっこ良さだけにあこがれて、戦争の悲惨さを見ようとしない若者はいないとは思いますが。

 そして、このドラマに大きな違和感を感じる理由は、わざわざ3年に分けて放映することです。早く完結させれば良いのにと思いますが、こういう話があります。

 以前、総理大臣であった安倍晋三氏は、在任中「美しい国」という目標を掲げました。そして戦争放棄をうたった憲法9条を改正し、再軍備をもくろんでいました。
 憲法改正には議会の三分の二の賛成が必要です。当時、自公連立政権は衆議院でそれを達成していました。あとは参議院で勝利すれば実現します。参議院で勝利するために3年かかると予想し、安倍総理はNHKに働きかけて「坂の上の雲」を3年かけたドラマに仕立てました。世論を再軍備に誘導するためです。
 しかし、3年前の参議院選挙で自公は敗北しました。その後、安部総理は体調に変調をきたし、志半ばで辞任して憲法改正は議論されなくなりました。
 結局ドラマ「坂の上の雲」だけが、3年に分かれて放映されています。これが大いなる違和感の原因なのです。

 ということなのですが、よくできた話です。

 若い人たちが戦争で死んでいくことには反対です。
 原爆を投下された広島は、国民の先頭に立って平和を希求して行くべきではないでしょうか。