2012年2月1日水曜日

ノロウィルス

先日、広島市南区の皆実小学校で食中毒が発生しました。参加した5年生99名のうち、54名が下痢や嘔吐を発症しました。参加した保護者や教員も発症したそうです。
 その件で、教育委員会の健康教育課長と健康福祉局の食品保健課長が説明に来ました。

 説明によると、5年生が授業時間を利用してPTC活動として餅つきをしたそうです。学校医からの報告を受け、食品保健課が調査した結果ノロウィルスによる食中毒と判明。餅つきの時に食べた餅に、ウィルスが付着していたと考えられました。

 子どもたちや保護者のみなさん、そして先生方に心からのお見舞いを申し上げます。1月31日時点では、子どもたちも軽快して終息に向っています。
 しかし、症状は軽症ではあったものの、拡大範囲を考えれば大きな食中毒と言えましょう。

 ノロウィルスはヒトの腸管に存在し、糞便から体外に放出されます。ノロウィルスを持った人が排便の後に手をしっかり洗わなければ、手にウィルスが付着します。その手から物や別の手などを介して拡大します。特に冬は流行の季節です。
 便1グラム中に、10万個のノロウィルスが存在します。人体に感染して下痢や嘔吐を発症するには、わずか10個のウィルスで十分だそうです。なんと恐ろしいウィルスではありませんか。
 一番の予防は、充分な手洗いです。排便の後や調理の前、そして食事の前です。

 食品保健課長は、こう説明しました。

「昨年の秋から、毎月1回注意を喚起する文書を市役所内の18部署に送っています。」

 教育委員会の健康教育課にも、その文書は送られていました。そこから各学校、幼稚園へ送付されていました。その文書を何通か読みましたが、「ノロウィルスを防ぐこと」「手洗いを励行しよう」と、どの文書にも書いてありました。
 その1枚に、手洗いの手順を6枚の絵で示している文書がありました。その中で気づいたことを食品保健課長に話しました。

「この絵は良く描けています。ただ、右手を使って左手を洗う絵しかないです。この通りにすると右手は洗わないが、それで良いのですか。絵の下に、次に右手を洗うと、書いたほうが良いのでは。まあ、ひねくれた人しかこんな指摘はしないでしょうね。」

 すると課長は答えました。

「はい、ひねくれた人くらいしか、こんなことは言わないでしょう。」

 こんな議員には付き合っておられんわ、という表情が垣間見えました。

 私はこう言って切り返しました。

「私が新米の外科医のころ、手洗いの手順を習いましたが、まず利き腕(以後右手)から洗えと教わりました。左手にブラシを持って、右手をごしごし洗え。そのあと右手にブラシを持ち替えて左手をごしごし洗えという手順です。
 その理由は、最初に洗う手はゆっくり丁寧に洗い、次に洗う手は少し雑に洗う傾向にあるからです。
 特に、右手を使って洗うと洗いやすいのできれいに洗えます。左手で洗うと力が入りにくく、洗いにくくなります。だから最初に左手を使って右手を洗うと、ゆっくり丁寧に洗うことになります。右手も左手も均等に、綺麗になるのです。」

 二人の課長は、この話は初めて聞いたと言いました。食中毒の注意を喚起するお知らせに活用したいと言っていました。

 ノロウィルスもインフルエンザも、予防はせっけんを用いた手洗いです。みなさん、面倒くさがらずに手洗いしましょう。まず左手を使って、右手を洗ってください。左ききの人は逆ですよ。