2012年11月2日金曜日

シンドラーの死亡事故

 11月1日付けの朝日新聞は、一面にシンドラー社製のエレベーターの死亡事故を報道していました。金沢市の「アパホテル金沢駅前」で、エレベーターに乗ろうとした女性が、突然動き出したエレベーターのかごと上部の枠にはさまれ死亡しました。

 2006年にも、 東京都の公営住宅で、高校生がシンドラーのエレベーターにはさまれて生命を奪われました。同じ悲劇が繰り返されました。悲しむべきことです。

 私は、さっそく南区の厚生部長に電話を入れました。南区厚生部が入っている別館のエレベーターはシンドラー社製です。2006年以前に広島市が、指名競争入札の結果購入したエレベーターです。
 厚生部長は、新聞記事を見ていなかったようですが、「さっそく安全対策をとる」 と述べました。そして、午後にはこのエレベーターの使用を中止しました。

 11月2日に、再び厚生部長に電話を入れると、
「3日の土曜日と4日の日曜日は使用を再開したい」、と言います。
「どういう方法で安全が確認できたのか。」と聞きました。
「身体の不自由な方が利用されるので、エレベーターは不可欠だ。」と、部長は言いました。

 安全かどうか聞いているのに、この発言にはあきれるしかありません。
「安全確認ができないのに運転再開するなどと、許されることなのか。」と問うと、
「西区にも同じエレベーターが入っている。西区と協議する。」と言います。

 西区の区長に電話をかけると、
「西区はエレベーターを止めている。安全が確認されるまで止めたままにする。土日ももちろん止めたままだ。」と答えました。
 「同じ広島市の施設なのに、南区は土日に動かし、西区は土日も止めるなどあり得るのか。」と指摘すると、西区の区長は
「あり得ないことである。昼の12時までに結論を出す。」と言いました。

 12時に、都市整備局営繕部設備課長と指導部長、そして機械設備担当課長が説明に来ました。
「南区と西区のエレベーターは、安全を確認するまでは運転しない 。」とのことでした。

「どうやって安全確認するのか。」と聞いても、設備課長が「緊急点検させる。」としか言いません。
「金沢のホテルのエレベーターも毎月の点検の結果、異状なしだったが死亡事故が起きた。」と指摘するとみな黙ってしまいました。

 市には他に39施設にシンドラーのエレベーターがありますが、停止させずに今まで通り運転させると言います。
 その理由について設備課長は、「事故と同じ駆動装置が設置されているのは、西区と南区だけだ。」と述べました。

「なぜ、2か所だけなのか。」と問うと、「シンドラー社がそう言った。」と設備課長は答えました。
「それを鵜呑みにしてよいのか。人が一人死亡したのに、なぜそれで済むのか。」と問いかけましたが、みな黙って何も言いません。

「市の41の施設にあるエレベーターについて、駆動装置の製品番号のリストをシンドラーから取り寄せて、各エレベーターの駆動装置が本当にシンドラー社が言うように、2つが同一で39が同一でないことを確認してはどうか。」と提案しました。
 部長は「そのとおりする」と約束して、さっさと帰りました。

 市の各幹部は、人命を軽く見ているようにしか映りません。市民の生命を守るよりも、自分たちの仕事が増えないことのほうが、重要なことのようです。
 結局、私が提案したことしかやらず、自分たちからは何もやろうとはしないというやりとりです。