2010年2月6日土曜日

朝青龍の引退

 横綱・朝青龍が引退しました。突然の引退に驚いていますが、場所中の暴行事件は横綱にあるまじき行為であり、責任をとって引退することもやむをえないと思います。
 しかし、本当に残念なことだと思います。初場所は13勝2敗の好成績で、25度目の優勝を遂げたばかりでした。まだ29歳の若さであり、精進しだいではまだ5年は横綱を勤められたでしょう。大相撲は5年で30場所ですが、6~7回は優勝できたのではないでしょうか。 

 ライバルの横綱・白鵬がインタビューに答えていましたが、しきりに泣いていました。私は、横綱・玉の海が死んだ時に泣いていた、横綱・北の富士を思い出しました。
 玉の海は、毎場所のように北の富士と優勝を争ったライバルでした。玉の海は、急性虫垂炎を薬でごまかしながら巡業を続けていました。しかし手術のための入院中、肺動脈幹血栓症を併発し、28歳という若さで急死してしまいました。
 北の富士は、二人で背負ってきた横綱の重圧を、突如一人で背負うことになったのです。その不安や心細さなどは、想像を絶するものがあったことでしょう。
「玉の海、なんで死んだんや。」
という心の声が聞こえてくるようでした。 

 おそらく白鵬も同じ気持ちではないでしょうか。凋落する相撲人気を、朝青龍と二人で盛り上げていこうとした矢先での引退です。突然土俵から朝青龍がいなくなるということは、白鵬にとっては先立たれたのと同然だろうと思います。

 北の富士は、玉の海の急死した翌場所に13勝2敗で優勝しました。しかし、以後4場所は不調が続き、結局引退するまでの優勝は2回に留まりました。
 白鵬には一人横綱の重圧をはね返し、優勝記録や連勝記録を塗り替えて孤高を歩んでもらいたいと思います。