2010年2月9日火曜日

鞆の浦と文化遺産

常夜灯


   
                         鞆の浦                              

  ある大学でのこと、教授が学生にたずねました。
 「明治時代の日本のあり方を描いた『坂の上の雲』の原作者はだれか。」
  すると一人の優秀な学生が手をあげて答えたそうです。
 「宮崎駿(はやお)です。」 
 教授は「日本はのぼり坂じゃなくて崖っぷちか。」と嘆きました。 正解は司馬遼太郎です。

 それほどの人気を博した宮崎駿監督のアニメ 「崖の上のポニョ」は、福山市鞆の浦を舞台にした作品です。先日、テレビで放映されていたので見てみました。私の好きな女優の山口智子が、主人公のお母さんの声を演じていたので最後まで見たのですが、話の内容は難解でした。
 
 その鞆の浦には江戸時代の港のすがたがそのまま残されています。これは全国でただひとつの風景だそうです。大きな常夜灯や雁木など、地域一帯が貴重な文化遺産と言えましょう。 
 
 鞆の浦には、沖合いに橋を架けて交通の便を良くしようという計画があります。今回訪ねてみますと、「生活を守れ」などのスローガンが掲げられていました。架橋派の市長たちは、橋の上から鞆の浦を見ればよい景色だと意見しています。
 完成のイメージを見ると、江戸時代の港から近代の橋が架かっています。橋だけが未来からやってきたようで、なんとも不調和です。
 
 個人的には、このままの姿を残してもらいたいと思います。景観はとても重要で、一旦変えてしまうと元には戻りません。
 厳島神社の沖合いに架橋して車を通したりはしないでしょうし、原爆ドームを上からのぞき込もうと隣に展望塔を建てたりはしないでしょう。
 文化遺産に手を付けてしまうと価値は大きく損なわれ、遺産では無くなってしまうのです。