2010年4月12日月曜日

名張毒ぶどう酒事件

 以前このブログで、裁判員制度について書いたことがあります。最近マスコミはあまり取り上げなくなりました。制度が定着し、問題無く運用されているということでしょう。
 今までの裁判は、法律の専門家である裁判長が一人で有罪か無罪か決めていました。しかし、裁判員制度の導入により、合議制で決定することになりました。つりあいのとれた判決が出されることを期待しています。

 「名張ぶどう酒事件」は今年の4月に再審請求が認められました。奥西勝被告は、1961年に36歳で逮捕されて以来49年間獄につながれています。 
 三重県名張市葛尾の公民館で開かれた集会に出席した5人の女性が、毒入りぶどう酒を飲み死亡したという事件でした。この会合に出席していた奥西被告は、三角関係を清算する目的で、妻と愛人を含む5人の女性を毒殺したという容疑です。
 容疑を疑問に思う人たちは、そもそも被告に殺人を犯す動機が無いということです。

 被告は一旦自白しましたが、公判で供述をひるがえし無実を主張しました。一審の津地裁は無罪、二審の名古屋高裁は一転死刑、そして最高裁で死刑が確定しました。以後再審請求を繰り返して来ましたが、この度それが認められることになりました。

 疑問に思うのは、同じ証拠、同じ証言を審査したにもかかわらず、一審は無罪、二審は死刑と極端に判決が振れたことです。
 真実は一つなので、どちらかの裁判長が間違った判決を下していることになります。

  私も、ある事件で裁判所に意見書を提出したことがあります。一人の裁判長は、この意見書を採用して判決を下しました。しかし、別の裁判長は不採用としました。依頼人の主張を鵜呑みにしているという理由でした。
 これは裁判長の主観によるもので、到底納得のいく判決ではありませんでした。裁判官の主観は正しいこともありますが、間違っていることもあります。そのことは知っておくべきだと思います。
 
 無実でも死刑にされる可能性はあるのです。