2010年4月16日金曜日

政治家が飛行機に乗るということ

 政治家が飛行機に乗るということは、命がけのことだと思います。
 70年前、ポーランド軍の将校22,000人がソ連軍に虐殺された「カチンの森事件」という惨劇がありました。今月の10日、その慰霊祭に出席するためロシアのスモレンスクに向かっていた、ポーランドのカチンスキ大統領の乗り込んだ飛行機が墜落し、大統領をはじめ政府首脳が死亡しました。

 アフリカにコンゴ民主共和国という国があります。以前はベルギー領コンゴで、ザイールとも呼ばれていました。首都キンシャサでは、ジョージ・フォアマンとモハメド・アリが、ボクシングのヘビー級タイトルマッチを闘ったことがあります。世に言う「キンシャサの奇跡」です。
 
 コンゴでは、1960年ベルギーから独立する際に動乱が発生しました。コンゴ動乱です。
 総選挙で勝利したルムンバが首相に就任し、中央集権国家を目指しました。一方、世界の銅の7割を生産するカタンガ地方の指導者チョンベは、コンゴからの独立を目指しルムンバと対立しました。 
 ルムンバはソ連など東側の国に接近しました。これに対し鉱物資源に食指を伸ばすアメリカは、ルムンバと対立するカサブブ大統領やモブツ参謀総長を支援しました。
 
 国際連合はこのコンゴ動乱を抑えるため、武力介入を図っていました。これに期待していたルムンバですが、カタンガ州勢力によって1961年1月17日暗殺されました。
 
 ここで調停にのりだしたのが、ハマーショルド国連事務総長でした。しかし9月16日、彼を乗せた飛行機がコンゴへ向かう途中に北ローデシアのンドラで墜落。帰らぬ人となりました。
 
 結局、コンゴ動乱はアメリカの後押しを受けたモブツが大統領に就任し、32年間にわたる独裁政権を続けました。
 そのためハマーショルドの事故死は、アメリカの謀殺説がまことしやかに語られました。真相は不明です。

 ともかく世界中の政治家は、命がけで世界を飛び回っています。
 秋葉市長も世界の核兵器廃絶のため飛び回っています。これに市議会議員が、外遊の回数が多すぎるとかファーストクラスは贅沢だとか理屈をつけて、飛行機に乗る予算を削ろうとしました。
 了見の狭い話ではないかと思います。