2010年12月24日金曜日

大学病院の院内学級

 広島大学付属病院は、以前私が勤めていた病院です。
 病院には、多くの子どもたちが入院しています。その中には小学生や中学生もいます。彼らは義務教育年限なので、保護者や学校や行政は教育を受けさせる義務を負います。これは、憲法で規定されています。
 教育基本法では、教育の機会均等がうたわれています。どの子も等しく教育の機会が与えられなければなりません。そのため、院内に小学校と中学校の教室があります。これが院内学級です。

 大学病院では、治療の都合で自分の病室から出られない子どももいます。そこでベッドサイドで授業が受けられるように、保護者の人たちや病院のスタッフの皆さんと運動を起こしました。初当選した1999年から1年かかりましたが、学級の先生の人数を増やすことにやっとのことで成功しました。その後、新病棟の完成に合わせて標準的な広さの教室に移りました。教育を受ける機会は一般の学校と均等になったのです。

 ところが今年に入って歯科の病棟が移転してきて、院内学級は移転を余儀なくされました。病院から教育委員会に通知があり、もともと喫茶店であったスペースを新しい教室に使うことになりました。

 単に場所が移るだけなら問題はなかったのですが、大きな問題がありました。
 この喫茶店は形が不整形で、小中のクラスに分けると小学校はM字型の教室になりました。さらに小中とも60㎡だった部屋が50㎡に小さくなりました。
 実際の様子を見に行ってきました。教育委員会の職員と大学病院の事務員が立会いました。どちらも10名入るのががせいぜいの広さです。1年間の間には、小中とも院内学級の生徒が10名を超えることがあります。
 10名を超えればどうするのでしょうか。
 
 「教室に入る人数には限りがあります。○○君は入っていいですが、△△君は病室に帰ってください。」とでも言うのでしょうか。

 そもそも、平等な教育の機会とは、さまざまなハンディキャップを背負った子どもたちに、よりゆきとどいた配慮をすることではないかと思います。教育委員会や大学病院には、そのことが理解されているとは思えませんでした。
 大変、残念な視察でした。