2011年7月22日金曜日

相撲存亡の危機

 7月の名古屋場所は、半年振りの本場所となりました。3月の春場所は中止、5月場所は技量を見るだけで興行は行わない場所でした。この名古屋場所が不評だと相撲はもう見られないのではないかと思い、名古屋へ駆けつけました。

 さすがに名古屋は暑く、会場の周囲もあまり人がいませんでした。切符を切ってもらう入り口に行くと、親方が二人、それぞれの入り口に座っています。一人は元・栃の和歌(とちのわか)の春日野親方。もう一人は定かではありませんが、たぶん元・富士の真(ふじのしん)の陣幕親方だったのではないかと思います。

 陣幕親方は私の切符を切ると、半券を返さずにじっと見ています。ひょっとして、日にちが違ったのか、何か問題があったのか不安になりました。ずいぶん経って、親方は自分の後ろを示しながら、
 「あなたの席は東ですから、後ろの階段を上がってください。取り組み表は、そちらにありますのでご自由におとり下さい。ストラップも無料で配っていますので、どうぞ受け取ってください。それではどうぞご入場ください。」
 と、半券を返しながら案内してくれました。切符の小さな文字を読んで、私の席を教えてくれたのです。

 土俵の充実はもちろんですが、協会を支えている親方自らホスピタリティを発揮して、奮闘しておられました。一人一人のお客さんを大切にする親方の姿勢に、非常に好感を持ちました。

 残念ながらその日は3割程度の観客で、大変淋しい入りでしたが、地道な努力が人気の巻き返しにつながると思います。