2012年6月24日日曜日

いのちのFAX

6月21日の中国新聞朝刊を見て、わが目を疑いました。
 つい先月、聴覚障害者の男性から受けた救急要請のFAXを、広島市消防局が15時間気付かぬまま放置していたそうです。FAXには、「息が苦しい」と書かれていました。15時間後に気付いた消防局は、ようやく救急車を出動させましたが、男性の症状が軽快していたため病院への搬送はしませんでした。
 当時、通信司令室では6名の職員が119番などの電話に対応しており、他の3名は休憩のため別室にいました。
 
 なぜFAXに気付かなかったのでしょうか。私は21日の午後、消防局の通信司令室を訪れました。

 常に6名が勤務しているのですが、全員が正面の大画面に向き合っていました。大画面には、広島市の地図などが映し出されています。
 問題のFAXは、大画面に向って右手の机の上にありました。聴覚障害者の救急情報を受信するFAX以外にも、数台のFAXが置いてありました。同行した警防部長が指示し、テスト用のFAXが送信されて問題の機器から白いテスト用紙が吐き出されました。事件の時は、吐き出された紙のバックは透明の板だったそうで、今は赤い厚紙をバックにして目立たせていました。

 テスト用紙は、印字した面が裏になっていました。事件当時は、透明の板の前に表が白い紙が吐き出されたわけで、全く目立たない状態だったのでしょう。
 そもそも年間FAXされる件数は、年間5,6件だそうです。市内に多数いる聴覚障害の方々が、全員このFAX番号を知っていたのかは分かりません。

 私は2点提案しました。ひとつはFAXの機器を買い換えて、印字した面が表になるようにすることです。
 もうひとつは、健康福祉局と協同して、FAX番号『082-246-8222』を周知することです。

 しかし、一番問題なのは5月5日の出来事を6月20日まで隠蔽していた消防局の体質です。
 
 事件後すぐに、消防局長まで報告が上がっていたそうです。なぜ隠蔽していたのか分かりませんが、消防局長が最終的に判断したのでしょう。
 通報者が重症であったり、火事であった場合、消防局の誰がどういう責任を取るのでしょうか。恐ろしい話です。