2010年1月11日月曜日

性同一性障害夫婦の子

 「心と体の性別が一致しない性同一性障害だと診断を受け、女性から男性に戸籍上の性別を変更した夫が、第三者の精子を使って妻との間に人口受精でもうけた子を、法務省は『嫡出子と認めない』との見解を示した。」

 朝日新聞の10日付け朝刊第1面に、このような記事が掲載されました。その理由について法務省は、父親が戸籍から元は女性だったとわかるため、遺伝的な父子関係が無いのは明らかだからとしています。
 一方で夫婦間に子どもが出来ない場合、第三者の精子を使う非配偶者間人工授精(AID)では遺伝的な父子関係は無いにもかかわらず、嫡出子として法務省は受理しています。

 これは明らかに性同一性障害者に対する差別と言えます。

 遺伝的な父子関係が無いことが理由ならば、AIDによってもうけた子どもは、全員が嫡出子として認められないことになります。
 法務省は2004年に施行された特例法で、戸籍上の性別変更を認めています。それにもかかわらず、なぜこのような差別的な扱いをするのでしょうか。理由が分かりませんし、理屈も全く通っていません。
 
 社会には、様々な差別を受けている人がいます。差別をし続けている人がいるので、当然のように無くなりません。差別をする理由や背景も様々でしょうが、受ける側のことを考えると決して許されない問題です。
 今回の一件は、国家機関である法務省たるものが、自ら差別して不合理な行政手続きをしているのです。空いた口がふさがりません