2011年7月11日月曜日

無保険の公用車

 広島市は、1901台の公用車を所有しています。
 1901台のうち、救急車、はしご車、ごみ収集車など404台は任意保険に加入していますが、908台は未加入です。松井市長の専用車はリースだそうですが、任意の自動車保険に入っているそうです。残りの589台は二輪車で、自賠責保険のみ加入しています。
 
 つまり、通常の公用車のほとんどが無保険の車です。人身・物損事故を起こすと、運転者の所属する課の課長などが事故対応にあたります。賠償額は、過去の判例に基づいて積算するそうです。
 
 しかし、どの職員もどの課長も、事故対応には不慣れなはずです。誰かアドバイスする人間はいるのかと企画総務局の総務課長に尋ねたところ、「うちに警察の交通課のOBがいます。法務課にもアドバイスを仰ぎます。」と答えました。
 ならば法務課長に聞けば、いつでも相談を受けますと勇ましく答えるのかと思ったのですが、「総務課に警察のOBの人がいるはずです。そちらが詳しい。」といいます。

 警察のOBは、地域での交通安全教室などがもっぱらの仕事のようです。事故対応については素人も同然でしょう。
 常識からかけ離れた賠償額で示談に至っているのではないかと思います。事故に遭った市民や家族が、不当に安い賠償金で泣き寝入りしたケースも無いとは言えません。

 私は、よく公用車に乗せてもらい、八木用水や農地などの視察に行きます。このとき搭乗した公用車は、もちろん無保険でした。

 そんな最中に、私が交通事故で死んだとします。残された妻は賠償金を要求するでしょう。事故を起こした部局が賠償金額を提示します。経済局なら5千万円、病院事業局は1億円、教育委員会は2億円、道路交通局は1千万円、南区役所は1千五百万円などと、ばらばらの提示をすることが予測されます。

 このようにバラバラの賠償額の提示をされるようでは、事故死することに備えて各局からあらかじめ賠償金額を提示してもらい、公用車に乗るか乗らないか決めなければなりません。死亡する本人が死亡後の示談交渉をして、公用車に乗って視察に行ったりする事になります。こんな奇妙きてれつな話が広島市の常識なのです。

 他の政令市は、18市中15市が全車両加入でした。都道府県でも7つだけが未加入で、他は全車両加入でした。保険に加入するのが常識だと思います。

 市民の皆さん、くれぐれも公用車に乗らないように気をつけて下さい。救急車も怪我をした方だけが乗って、家族の方は保険に入った車で病院に向かった方がいいでしょう。
 役所の皆さん、市民や議員を公用車に乗せないでください。乗せるのであれば、1日も早く任意保険に加入してください。お願いします。